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2016年7月1日金曜日

古き良き時代

--新書で入門-- アインシュタイン丸かじり(新潮新書) 志村史夫

読み始めたが、ちょっと気になるフレーズがあった。アインシュタインが日本を訪れ、その手記の紹介がある。この内容を、筆者は、『アインシュタインが接したのは、まさに「古き、よき時代の日本」だったのである。』と書いている。
 この「古き、よき時代」というのはなんだろうか、筆者はこの時代に生きていたのだろうか。その時代にどのような暮らしが営まれていたのかを理解しているのだろうか。なぜ、「よき時代」なのか。懐古主義なのか。これが物理学者だというから笑ってしまう。普通に考えれば、アインシュタインが誤解しているだけだと気づくだろう。日本人は個性がなく、へらへらしているだけで、西洋文明にいちいち驚いているだけの人種だと。
 
 第一章で躓くのは嫌なのだが、この筆者のアインシュタインの押し付けが嫌になる。偉いのも理解できるし、凄いのも理解できるが、筆者の比喩にはついていけない。だから、どうしたって。アインシュタインがいなければ誰か別のアインシュタインが現れていたのかもしれない。数年後か数十年後かに。そんなことは誰にもわからない。なぜなら、アインシュタインが現れたから。アインシュタインの代わりはホーキンスだったかもしれない。科学の進歩は遅かったかもしれない。しかし、自然に鑑み、人の命を大切にするという意識が大勢を占め、その後に原子力が使われたかもしれない。第二次世界大戦に原子爆弾が間に合わなかったかもしれない。まあ、第三次世界大戦が勃発したかもしれないが。
 アインシュタインは確かに凄くて偉くて、、、よく理解できるが、それに関しては騒ぎたくないし、感動もない。熱狂もない。なぜなら、アインシュタインがいなければ日本人が金の計算ばかりをする民族になっていなかったかもしれないからである。なぜ、金の話をするかと、、、、筆者が現代の日本人をそう言っているから。
 
 この人は本が売れるように煽っているつもりだろうが、読む側は白ける。アインシュタインの人を理解しようというが、伝説になっているのなら、それは誇張され、脚色されたアインシュタインであり、この筆者が直接面会して、その人物を書いているのでもなく、根拠のない聞いた話に脚色して書いているだけとしか思えない。この本は信用できない。話のネタとしては面白いのかも(私は白けるが)しれないが。

 団塊世代のたわごとにしか聞こえないこの本だが、本当に団塊世代の人のようだ。団塊世代の人は、とにかく有名人が好き、人より秀でることが人生での誉という競争大好き人間だから、書いている内容が団塊向けになるんだろうけど、団塊世代でない私にとって、この団塊世代の訳の分からない競争心や有名になることが正しいこと、幸せなこと、という価値観についていけない。
 人は人で、私は私で、アインシュタインの話しネタでなく、平易にアインシュタインを紹介してくれればいい。単なる知識を得たいと思っているだけなのに、最初にこれだけ脚色されたら、続きの章は嘘ばっかりだろうと思ってしまう。嘘を覚えても仕方ないし、それを人に話すことはできない。

 この本は最低かもしれない。

第二章に期待しよう。

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